研究課題/領域番号 |
19KT0017
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
安江 紘幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (40508248)
|
研究分担者 |
野口 敬夫 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (70584564)
河野 洋一 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (80708404)
間々田 理彦 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60624591)
大室 健治 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 主任研究員 (70455301) [辞退]
原 温久 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (50747293)
|
研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2022-03-31
|
キーワード | エシカルフードチェーン / エシカル消費 / 倫理的消費 / 醸造業 / 農福連携 / フェアトレード / 復興応援 / 共感(ケア) |
研究実績の概要 |
本研究では、エシカル消費に関わる農畜産業や伝統産業である醸造業等の生産段階から加工・流通段階までをエシカルフードチェーンとして捉え、各段階における費用負担の実態を解明する。今年度は、本研究の論点であるエシカルフードチェーンのコスト負担を検討するにあたって先行研究のサーベイを行い、フードチェーンの構造的な分析枠組みを整理した。また、すでに面接調査に着手した醸造業や農福連携、フェアトレード等について引き続き調査を継続し、エシカルコストの負担実態を検討した。その結果、条件不利とされる中山間地域の農業者が自らの農業経営や地域の農業を持続可能なものとするためには、農産物の販売努力とともに、それを媒介として消費者や実需者とコミュニケーションを図り、農業者が持つ想いに対して消費者や実需者に共感してもらう必要があることが示唆された。このことは、消費者や実需者における「中山間地域の農業を持続的なものにしたい」という「エシカル(倫理的)意識の醸成」が条件の一つになることを示唆するものと考えられ、そのための具体的な方策について検討することが今後の課題として挙げられた。 また、北海道地域の醸造業(主に酒造業)を対象とした調査結果から、醸造業においては、資本力や生産量が大企業に比べて弱いことを主な理由とし、伝統的に「地域内からの原料調達」「地域内雇用」「販路開拓」を実施していることがわかった。つまり、伝統産業である醸造業においては、古くから地域経済・文化の担い手としての機能を発揮しており潜在的なエシカル社会・経済行動を実現していることが示唆された。加えて、農福連携に関する調査の結果、加工事業は地域の農業・水産業等、地域経済に強く寄与していることが分かった。また、消費者は加工製造所に問い合わせて初めて障害者により製造されているものと知り、その後にリピーターとなる等の現象があることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全世界的なコロナウイルス蔓延により、年度末に計画していた現地調査や学会報告は全て延期になったため大幅に遅れている。また、EU等のエシカル消費に関する海外調査(イギリス、デンマーク、イタリア)の目処も立っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度もコロナウイルス対応として、イギリス、デンマーク、イタリア等のEU圏への海外調査が困難であることから、主として国内の醸造業等を中心として調査を実施する。また、研究分担者との打ち合わせや検討については、Zoom等のWeb会議を定期的に実施し、理論的な検討を中心として研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス対応のために延期・中止となった学会および調査のためにR2年度使用額が生じた。また、コロナウイルス蔓延防止の観点から、R2年度も学会が延期・中止になることが予想される。加えて海外調査の実施もコロナウイルスの終息を見通せないため、R2年度に実施予定のWebアンケート調査の予備調査費用として使用する予定である。
|