研究課題/領域番号 |
19KT0021
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
栗田 宜明 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 特任教授 (80736976)
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研究分担者 |
脇田 貴文 関西大学, 社会学部, 教授 (60456861)
矢嶋 宣幸 昭和大学, 医学部, 准教授 (70384360)
宋 龍平 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (20843824)
佐田 憲映 高知大学, 医学部, 特任教授 (70423308)
下島 恭弘 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (50436896)
吉見 竜介 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70585265)
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研究期間 (年度) |
2019-07-17 – 2023-03-31
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キーワード | SLE / インターネット / ヘルスリテラシー / アプリケーション / 主治医への信頼 / 医師全般への信頼 / スマートフォン / TRUMP2-SLE |
研究実績の概要 |
研究1. SLE患者の価値類似性の認知と医療トラストの関係性:昨年度に開発した日本語版トラスト尺度、シナリオや醜形恐怖を含めた質問票で、SLEの患者に多施設共同研究を行い、ベースライン調査で現在521症例の回収を行い、386症例のクリーニングを終えた。次いで、2つの検証研究を行った。(1)5項目のWake Forest Physician Trust Scale短縮版を用いて、ヘルスリテラシーが医師に対するトラストに与える影響はポジティブにもネガティブにもなりえる可能性を示した。すなわち、健康情報を理解する基本的な力は主治医に対する信頼を高め、健康情報を批評したり自分に当てはめる力は医師全般に対する信頼を低下させるものの主治医に対する信頼は損なわれない可能性を示した。(2)インターネット(IT)の利用時間が長いほど、医師全般に対する信頼へのインパクトが大きい可能性を示した。(3)主治医への信頼が高いほど、自己報告式の服薬アドヒアランスが高くなる可能性が示された。
研究2. 上記のSLEの患者を対象に追跡調査も行った。現在385症例の回収を終えた。さらなる収集を行った後でクリーニングを行い、医療トラストを含めた、医師患者関係が患者の臨床アウトカムに与えるインパクトを分析してゆく。
研究3. ITを介した他のSLE患者の情報の質が、SLE患者の医療トラストに与える影響の解析:本課題研究で用いるSNSのシステムを選び、要件定義を行った。さらに、SNSを利用したアプリケーションのシステム開発を委託して、プロトタイプが完成した。患者が参加しやすいように擬人化する工夫も行った。共同研究者とともにスマートフォン上での運用上のチェックを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主治医や医師全般でのトラストの数値化に成功した上で、SLE を対象に医療トラストを調べる横断研究を開始できた。その結果、健康情報を理解する基本的な患者力が主治医に対するトラストを高め、インターネット利用時間が医師全般へのトラストに負の影響を与えるなど、本研究の中心課題を明らかにすることができた。また、SNSを活用した研究は、アプリケーションのシステム開発を行い、プロトタイプが完成したが、シームレスに研究実施を進めるためにテスト利用を行っている。従って、概ね計画通りと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、SLE患者を対象とした5施設の調査研究から、医師へのトラストに関連する因子にとどまらず、トラストの変化に関連する因子にも着目する。①修正可能な医師要因が何か?②患者要因は何か?を明らかにしてゆく。③医師へのトラストにとどまらず、医療情報源への信頼も明らかにしてゆく。 SNSを用いた医療トラストに与える研究のアプリケーションのプロトタイプを、アプリ開発経験のある専門家や経験サンプリングを用いた心療内科医の指導のもとで引き続き改良を重ねて完成を目指す。それから、リウマチ専門医・腎臓専門医の協力を得て患者への実施につなげてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
集合会議が、新型コロナウイルス感染症の防疫のために次年度に見送りとなったことに加えて、SNSを用いた研究の実施前にアプリケーションとシステムのプロトタイプのテスト使用と改良作業を次年度に必要としたため。
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