研究実績の概要 |
本研究では、義務教育において必修化されたダンス表現を対象とし、複数名の演者間に生じる協調の様相とその機能を検討する。その際、当初は、要因設定・測定が比較的容易な実験室で検証を行い、その上で示唆された知見・測定手法を用いて演者が実際に表現を行うフィールドを対象とした検証を行うことを予定していた。一方で、COVID-19の感染拡大により、研究期間内にフィールドを対象とした検証を実施することに困難が生じた。そこで当初予定を部分的に変更し、以下の取り組みを実施した。まず、2019年度から2020年度にかけ実施した実験研究の1つ(熟達者のリズム運動の協調)に関する論文を発行した(Shimizu & Okada, 2021)。また、もう1つの実験研究である空間内の移動についての演者間の協調に関してもデータ解析・原稿執筆を終え、書籍のチャプターとして発行した(清水,2022)。さらに、これら論文の執筆過程において、演者間の協調を豊かに捉えるには、協調関係のパフォーマンスにおける機能(表現の魅力として観客にいかなる印象を与えるのかといった特徴)を定量的に検討する必要が考えられた。そのため、上記の実験におけるパフォーマンスをオンライン環境にて視聴した際の観客の反応・評価の測定とその指標の演者間の協調との対応に関する解析を進め、演者間協調の表現として有する機能を検討した。この検討に関しても、現在論文執筆を行っており、近日中に投稿する予定である。
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