本研究では、グリーンコンポジットのマイクロプラスチック化における充填材の外部刺激伝播の影響を明らかにすることを目的とした。実験では、まずマイクロプラスチック(MP)の実験モデルを用意するため、自作の加工装置を用いてグリーンコンポジットの微細繊維を作製した。加工装置はリニアアクチュエーター、マイクロヒーター、熱電対、ロードセルから構成した。結果として、繊維径5μmから50μmまでの微細繊維を作製するとともに、微細繊維の繊維径と加工条件の関係を明らかにした。さらに、500μm、1000μmの円柱状構造体を形成する方法とその加工条件についても明らかにした。以上から、サイズの異なるMPモデルを作製した。 次に、MPモデルおよび平板試験片に紫外線を照射して、時間経過にともなう劣化過程を評価した。紫外線を長時間照射したMPモデルでは平板試験片では観察されなかった形状変化が見られた。また、FT-IRを用いて平板試験片表面のIRスペクトルを取得した結果、紫外線による分子構造の変化が明らかとなった。それらの結果から、劣化にともなうMPモデルの形状変化は分子構造の変化に由来していることが示された。さらに、サイズの異なるMPモデルを比較した結果、MPモデルのサイズによって分子レベルに由来する影響が異なることが分かった。R4年度は紫外線劣化にともなうセルロース系グリーンコンポジット表面の濡れ性を評価した。結果として、表面劣化にともなって充填材の濡れ性がグリーンコンポジット表面の濡れ性に支配的になることが分かった。
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