研究代表者は、センダン材供給量の将来予測のため、熊本県の人口シナリオによるセンダン植栽候補地の絞り込みを行った。その結果、特に自治体の高齢者割合が将来の植栽候補地を規定する可能性が示された。具体的には、熊本県全域の現在の森林面積を100%とした場合、センダンの生育適性の高いエリア(標高500m以下のスギ人工林の中で、特に湿潤なエリア)と、2050年時点の高齢者割合が比較的低い自治体のフィルタリングにより、センダンの植栽候補地として1.1%のエリアを特定した。これに対し実績ベースでは、昨年度までの調査結果から、2019年時点のセンダン植栽面積は森林全体の0.01%に留まることが明らかとなった。農地のセンダン植栽面積についても同様に、現時点では低水準であり、熊本県の耕作放棄地の0.07%に留まると推定された。 研究分担者は、熊本県におけるセンダン植林モデル構築の取り組み(4地域:鹿本、球磨、天草、阿蘇)の現状と課題を調査した。その結果、耕作放棄地対策、林業の多様化、町有林有効活用、豪雨災害処理のための土捨場の有効活用等の観点でセンダン植栽が取り組まれていることが明らかとなった。センダンが植栽される要因として、それ以外にも、伐期の短さ、確実な需要の存在、熱心に植栽を働きかける普及活動が重要であることがわかった。課題としては、耕作放棄地では農地転用/非農地証明の確保、共通するものとして、地域に即したより具体的な施業体系・技術の確立および細やかな技術指導、諸コスト・収益・経営収支を明らかにすること、実例を示すことがあげられた。
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