研究概要 |
本年度はDoubleChooz検出器の建設期間であった.前年度にテスト,組み立て及びクリーニングを終了し,ドイツマックスプランク原子核研究所に保管していた光電子増倍管をH21年5月よりフランスのChooz実験場に輸送し,約2ヶ月半をかけDoubleChooz検出器本体の中に組み込んだ.その後,光電子増倍管システムと高電圧装置の設置テストを行った.データ収集およびモニターシステムに関し、引き続きフランスAPC研究所と共同で開発を進め,設計通りに動作するシステムを完成させることができた。モニターシステムについては比較的早い段階で初期バージョンを完成させ、結果として我々の開発したモニターシステムは実験全体で用いる共通オンラインモニターとして採用されることになった。また、LED光源を用いたキャリブレーションシステムをSussex大学と共同で導入し、自動制御するソフトウェアの開発も進め,光電子増倍管のオンサイトテストを行った.液体シンチレーターを検出器に導入する準備を行った.これらの作業のため,多数の研究者が現地に滞在した. 解析では,日本グループが正式に日米欧の3つの解析クラスターの一つとなり,実験開始後ニュートリノ振動の解析を速やかに開始するために、シミュレーションによる解析手法の確立や測定感度の見積もりなどを進めた。取得された実験データを、日本国内に転送して独自に解析作業を進めるために、データ解析用計算サーバシステムを調達・構築した。ソフトウェア等の整備も済み、上記のシミュレーションのために運用を開始している。 2010年8月にInternational workshop on Applied AntiNeutrino Physicsを東北大主催により開催した.参加者約50名.なお,2009年10月にフランスグループ担当のアクリルタンク設置中にアクリルにひびが入る事故が発生し,その対処のため全体のスケジュールが遅れ,予算の繰り越しを行なった.
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