研究課題/領域番号 |
20002001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
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研究分担者 |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70237139)
田中 正之 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80280775)
林 美里 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (50444493)
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キーワード | 比較認知科学 / チンパンジー / 知覚 / 記憶 / 概念形成 / 道具 / 対面検査 / 化石人類 |
研究概要 |
京都大学霊長類研究所の1群14個体(7歳から41歳までの3世代)と、アフリカ・ギニアの野生群13個体(0歳から約50歳までの3世代)を主対象に、「親子関係やコミュニティーのなかま関係の発達」「チンパンジーの認知機能の実態とその制約」、「人間を特徴づける認知機能」を明らかにする研究をおこなった。主対象の3組の親子について、子どもが思春期を迎える時期であり、子どもからおとなへのダイナミックな認知的な飛躍を実証的に捉えることを目的とした。下記の3つの実験場面を確立し検討した。1)社会的場面 : 複数個体を対象にした共同作業場面、2)対面検査場面 : 従来は困難とされてきたアダルト(おとな)になる過程での対面検査、3)個体学習場面 : 1個体を対象とした「タッチパネル付きコンピュータをもちいた学習場面」である。主対象の7-8歳の子どもたちの親子関係は、親離れ、子離れが進みつつある。アラビア数字の系列情報処理とその記憶過程など、象徴機能、概念形成、注意機構、情動過程について解析した。顕著な成果として、2台のコンピュータを連動させた見本合わせ課題を新たに設定し、2個体が協力した見本あわせ課題ができることを示した。またアイ・トラッカーを導入して注視点の計測をおこない、人間とチンパンジーの注視点の類似と相違を実証した。物の操作に着目して自発的な規則の生成について検討した。また京都市動物園と東山動物園のチンパンジー等を対象にした比較認知科学研究を始めた。野生チンパンジー研究では、化石人類の発掘調査地コービフォーラから原石を持ち込み、それを野生チンパンジーが使うようすを観察した。人類の石器製作技術の進化の解明に向けた研究である。さらに、ヒト、テナガザル、ニホンザル、フサオマキザル、さらにはイルカ類を対象にした種間比較を通じて、比較認知科学の視点から思考と学習の研究をおこなった。
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