研究課題
制御性T細胞(Regulatory T cell、以下Tregと略)による抑制機構および胸腺におけるTregのT細胞抗原レセプター(TCR)認識範囲(TCRレパトア)の形成機構を解析した。Treg特異的CTLA-4分子の欠損により制御性T細胞は抑制能を失う。逆に、CD4T細胞特異的にCTLA-4を発現するトランスジェニック(Tg)マウスで、正常T細胞がCTLA-4を高発現するならば、制御性T細胞と同じく抑制能を発揮するか検討した。また、制御性T細胞の特徴として高親和性インターリューキン-2(IL-2)レセプターを高発現することから、IL-2が制御性T細胞の抑制能に関与するか検討した。その結果、IL-2遺伝子欠損(KO)マウスとCTLA-4Tgマウスを掛け合わせて作製したIL-2を産生せずCTLA-4を構成的に高発現するCD4T細胞は、抗原刺激によって活性化されると、試験管内でも生体内でも強力な抑制能を示した。この抑制能は、活性化IL-2KO/CTLA-4TgT細胞が、周囲からIL-2を吸収し、またTg CTLA-4がCD80/CD86共刺激分子と強結合し、その結果レスポンダーT細胞に対するCD28シグナルを阻害することによる。さらに、CTLA-4Tgマウスを用いて、CTLA-4の高発現が、制御性T細胞の胸腺での発生、分化に及ぼす効果を検討したところ、CTLA-4TgT細胞のTCRレパトアは、有意に自己反応性に偏っていた。逆に、CTLA-4欠損制御性T細胞のTCRレパトアは自己反応性を失っていた。これらの結果は、胸腺でのT細胞選択において、末梢と同じくCTLA-4の高発現によりCD28シグナルが減弱すると、それを補償できる強いTCR刺激を生じるT細胞のみが選択される。即ち、制御性T細胞におけるCTLA-4の高発現は、末梢での抑制機構のみならず胸腺での発生に重要である。
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