研究課題
Toll-like receptor (TLR)などの自然免疫受容体刺激により様々な遺伝子の発現が誘導され、炎症応答が惹起される。この経路は様々な分子により精緻に制御され炎症応答がコントロールされている。我々は自然免疫制御のメカニズムを明らかにする目的でTLR刺激により発現が誘導される遺伝子をスクリーニングしZc3h12aとTANKに着目した。Zc3h12aを欠損するマウスを作製すると、自己免疫性炎症性疾患を自然発症した。また、Zc3h12a欠損マクロファージはTLR刺激に対しIL-6やIL-12を過剰産生した。このメカニズムを探るとZc3h12aはRNA結合蛋白質として働き、いくつかの炎症性サイトカイン遺伝子などのmRNAを不安定化する因子として機能することが明らかとなった。更に、Zc3h12aはRNase領域を持ち、実際にRNaseとして機能することがZc3h12aの炎症応答制御に重要であった。TANK欠損マウスも自己免疫性糸球体腎炎を自然発症した。TANK欠損マクロファージはTLR刺激に対し過剰に炎症性サイトカインを産生したが、TANKはmRNAではなく、TLRシグナル伝達経路を負に制御していることが明らかとなった。また、TANK欠損マウスの病態形成にはIL-6やTLRシグナルが重要であり、慢性的なTLRシグナルの活性化から産生されるIL-6が関わることが考えられた。このように、今年度の研究により、自然免疫応答の制御機構の一端を明らかにすることが出来た。特に、Zc3h12aによるmRNA制御のメカニズムは新規のものであり、現在そのメカニズムに関し更に検討を加えている。
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