研究課題
自然免疫機構はToll-like receptor (TLR)やRIG-I-like receptor (RLR)などの受容体を介して病原体の侵入を認識し、炎症応答を引き起こす。これまで、自然免疫受容体の認識する病原体成分に関する知見は蓄積してきたが、1.細胞質内DNA受容体の詳細は明らかになっておらず、2.受容体シグナルが炎症応答をコントロールするメカニズムに関しては十分分かっていない。1.我々はDNA刺激に対する応答機構を発現クローニング法を用いて解析し、TRIM56という分子がインターフェロン産生に重要であることを見出した。TRIM56はDNA認識に関わる分子であるSTINGをユビキチン化することによりインターフェロン応答を調節していた。TLRにより発現誘導される遺伝子の中でヒストン3K27脱メチル化酵素活性を持つJmjd3に着目しその遺伝子欠損マウスを作製した。Jmjd3欠損マウス由来マクロファージはTLR応答や細菌感染に対する応答に異常を認めなかったが、寄生虫感染や寄生虫構成成分であるキチン投与に対するマクロファージ応答が著明に障害されていた。このようなマクロファージはM2マクロファージと呼ばれる。Jmjd3のヒストン脱メチル化酵素活性がM2マクロファージ分化に必須である事から、どのような遺伝子がJmjd3により調節されているかをクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-Seq)法で解析し、転写因子であるIRF4を同定した。IRF4はJmjd3欠損マクロファージで発現が低下しており、また、IRF4欠損マウスはM2マクロファージ分化が障害されていた。また、Jmjd3欠損マクロファージにIRF4を発現させることにより、M2マクロファージ分化が回復した。従って、Jmjd3によるヒストンメチル化制御は抗寄生虫マクロファージ応答に重要であることが明らかとなった。
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