研究課題/領域番号 |
20002008
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
審良 静男 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 教授 (50192919)
|
研究分担者 |
竹内 理 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (10379092)
河合 太郎 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (50456935)
齊藤 達哉 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60456936)
|
キーワード | 自然免疫 / シグナル伝達 / 蛋白質分解 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
病原体の初期認識に関わるToll-like receptor (TLR)やRIG-I-likereceptor (RLR)による自然免疫制御機構を理解するため、以下のことを明らかにした。ウイルス感染により発現が上昇するViperinに注目し、ノックアウトマウスの作製を行った。その結果、Viperinは形質細胞様樹状細胞(pDC)において、TLR7やTLR9といったウイルス核酸センサーを介したI型インターフェロン産生に必須の役割を果たしていることを見出した。Viperinは脂肪滴上に発現しており、TLR7やTLR9下流に位置するIRAK1やTRAF6と結合しユビキチン化を誘導することで、転写因子IRF7の活性化を促し、I型インターフェロン発現を誘導した。また、IL-6やIL-12といった炎症性サイトカイン遺伝子のmRNAの不安定化を制御し、炎症性疾患発症を抑制するRNAseであるRegnase-1が、TLR刺激によりリン酸化を受け分解されることを新たに見出した。この分解によりIL-6mRNAが安定化し、IL-6が迅速に産生されると考えられた。また、Regnase-1が分解後に再び発現が上昇することで、IL-6mRNAが不安定化することも見出した。これらのことから、Regnase-1はIL-6産生を厳密に制御しているRNaseであることが示された。以上のように、TLRを介するシグナル伝達経路の解析やTLR刺激で発現誘導される遺伝子の転写後調節機構を、主にノックアウトマウスの作製を通して明らかにしてきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、Zc3h12a(Regnase-1),Jmjd3,TANK,TRIM56,Viperinといった分子をDNAマイクロアレイ、酵母ツーハイブリッドスクリーニング、発現クローニングで同定するとともに、ノックアウトマウスの作製を通して自然免疫制御における役割を明らかにしてきた。また、これらの成果の一部をImmunityやNat Immunol誌等で発表を行った。このように当初の計画通りおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通り研究を推進していく。特に、自然免疫制御に関与すると予想される分子に関して遺伝子改変マウスを作製し解析を行うと共に、会合分子の同定も目指す。さらに、これら分子の生理機能を遺伝子改変マウスを作製することで明らかにしていく。
|