研究課題
自然免疫の包括的な理解を目指して、自然免疫を介したウイルス排除のメカニズム解明、自然免疫を介した炎症性疾患発症のメカニズム解明、および新たな機能を有する自然免疫担当細胞の同定に関する研究を行った。好中球は、ミエロパーオキシダーゼやアルファディフェンシンなどの抗ウイルス因子を産生する自然免疫担当細胞である。本年度の解析から、好中球は自然免疫に関わるパターン認識受容体であるTLR7/TLR8によりヒト免疫不全ウイルス-1 (HIV-1)を認識して、Neutrophil extracellular traps (NET)と呼ばれる粘着性の高い構造体を細胞外に放出することが明らかになった。NETは抗ウイルス因子を豊富に含んでおり、HIV-1を補足した後に失活させる活性を有している。自然免疫に関わるパターン認識受容体であるNLRP3は、過栄養摂取により蓄積する尿酸結晶や遊離脂肪酸などの自己成分に反応して炎症反応を惹起するため、生活習慣病の発症要因となる。本年度の解析から、尿酸結晶によるNLRP3インフラマソームの活性化には微小管を介したミトコンドリアと小胞体の近接が必要となることを明らかにした。微小管重合阻害剤であり、痛風治療薬でもあるコルヒチンは、NLRP3インフラマソーム活性化を阻害することにより、痛風の症状を緩和すると考えられる。自然免疫担当細胞であるマクロファージには、脂肪代謝や創傷治癒など、様々な生体応答を調節する機能があることが近年明らかになっている。本年度の解析から、脂肪組織に常在するM2様マクロファージが脂肪代謝に関わっており、このマクロファージの欠失はリポジストロフィーを惹起することを明らかにした。このマクロファージの分化には、アダプター因子Trib1を介してユビキチンリガーゼCOP1による転写因子C/EBPαの分解が誘導されることが必須である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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