研究課題/領域番号 |
20011002
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋吉 一成 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90201285)
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研究分担者 |
松田 修 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (00271164)
森本 展行 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00313263)
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キーワード | 癌免疫 / タンパク質ワクチン / サイトカイン / ナノゲル / 遺伝子デリバリー / 分子シャペロン / カチオン性多糖 / トランスフェクション |
研究概要 |
本研究では、サイトカインの徐放制御担体としてのナノゲル複合体の利用、および塩基性ナノゲルを用いたタンパク質や遺伝子(プラスミド)などの核酸のキャリアとしての利用を図る。ナノゲルはタンパク質を凝集させることなく取り込み、活性を保持した形で放出しえる、いわゆる分子シャペロン機能を有していることが最大の特徴であり、世界に例のない全く独創的な点である。 1)ナノゲル癌ワクチンの開発:CHPナノゲルにESO-1癌抗原を取り込ませたナノゲル癌ワクチンは、臨床実験において、特に食道がんに対して有効であることが実証されている。ナノゲル効果を明らかにするために、マウスに皮下投与した後の抗原タンパク質の組織内分布を蛍光タンパク質を用いて調べた。その結果、ナノゲル化により抗原タンパク質は近傍のリンパ節に運ばれ、マクロファージや樹状細胞に効率よく取り込まれ、その作用は3日以上の長期にわたることがわかった。ナノゲルは、抗原の安定な取り込みによる製剤化とリンパ節へ輸送するナノキャリアとして有効に機能していることが明らかになった。 2)ナノゲル核酸キャリアの設計と機能:カチオン性(スペルミン置換)多糖ナノゲルはプラスミドと相互作用し効率よく複合体を形成した。そのトランスフェクション効率をルシフェラーゼ発現系により検討し、毒性の低い新規遺伝子キャリアとして機能することが明らかになった。また、siRNAによるRNA干渉においてもキャリアとしての有効性が認められた。
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