研究課題
がん悪性化の主因と考えられている低酸素誘導転写因子HIF-1は、正常組織では存在しない様な低酸素状態やがん遺伝子機能の亢進といった異常な状態に応答して活性化される。従ってこのHIF-1活性を生体レベルで、しかもリアルタイムでモニタリングすることができるトランスジェニックマウス(ODD-Tg)を用いて観察すれば、発がんプロセスを生体レベルで解明することができると考え、リアルタイムにHIF-1活性を感度良くイメージングすることができるレポーター遺伝子を全身にもつトランスジェニックマウスを3ライン(Balb/c,FVB,B6)構築し、性状解析を行っている。虚血処置による、イメージングでの応答性確認もできており、生体レベルでHIF-1活性をモニタリングができる事を確かめた。これまでの解析から腫瘍細胞以外の腫瘍内細胞でのHIF-1活性を可視化することが出来ており、かなり高いHIF-1活性を有していることを確認することができた。このことは、がんの微小環境ががんの悪性化に大きく係わっていることを具体的に示しており、その本質とメカニズムを解析するツールとしてODD-Tgマウスを活用し、生体イメージングで腫瘍内微小環境と治療抵抗性や悪性化との関係を明らかにすることができると考えられる。また、早期発がん試験用マウスとして用いられているRasH2マウスは、FDAが認知し、欧米各製薬会社で使われている。そこで、RasH2とODD-Tgを交配させたRasH2xODD-Tgマウスを用いて、発症するがんの生体イメージングの観察を計画した。このマウスにおける発癌の時期や位置を生体イメージングで経時的に観察できれば、創薬研究や腫瘍生物学研究において、極めて有用なツールを提供することができる。RasH2マウスは、MNUのような発がん性物質の投与により、早期にがんを発症する事が分かっているため、RasH2xODD-TgマウスをMNUで処理して経時的にイメージングを行ったところ、がんの発症をモニターできる事を示す成果が得られつつある。
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