研究課題/領域番号 |
20011004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 科江 京都大学, 医学研究科, 教授(科学技術振興) (40314182)
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研究分担者 |
近藤 玄 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (40243258)
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キーワード | 光イメージング / トランスジェニックマウス / HIF-1 / がん化プロセス / 病態イメージング |
研究概要 |
がんの死亡の最も大きな要因である転移のメカニズムを明らかにすることが、癌の死亡率の上昇に歯止めをかけることに繋がると考えら、がんはまさに全身を対象にして研究すべき病気である。我々は、これまで、化学発光イメージングが適応できるレポーターを組み込んだ腫瘍細胞を移植し、経時的に観察する研究を行っていた。しかし、それでは外来の腫瘍細胞の生体内での応答を見ているに止まり、「生体レベルでのがん化プロセス」を解析することはできない。そこで本研究において、腫瘍内微小環境の重要な因子であるHIF-1の生体応答を経時的に観察することで、「生体レベルでのがん化プロセス」の情報取得を試みた。HIF-1は、低酸素環境下で誘導され、癌の転移や浸潤、血管新生の亢進、アポトーシスの回避といった癌の悪性化に関与する様々な遺伝子の発現を誘導することが知られており、HIF-1の活性が、癌の悪性度と相関があるという臨床報告も多数なされている。本研究では、全身の細胞にHIF-1活性をモニターするレポーター遺伝子をもったトランスジェニックマウスを構築し、腫瘍の悪性化にともなって上昇する内在性のHIF-1活性をモニターすることで「生体レベルでのがん化プロセス」の解明を試みた。21年度は、RasH2マウスとの交配トランスジェニックマウスを用いたMNU等の突然変異誘導作用をもつ薬物を投与したりする事で、がんを誘発するなどして、内因性発がん過程を経時的に観察することに成功した。これらの結果は、「発がん過程を生体イメージングでモニタリングする」という本研究の目的を達成するとともに、今後多くの発がん刺激に対して生体レベルでのがん化プロセスを解明し、創薬研究や、遺伝子や化合物等の発がん実験に貢献することが期待できる成果である。
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