研究課題
(1)巨核球をモデル系とした細胞増殖から細胞死へのスイッチング機構の解析マウス巨核球の初代培養を用いた実験系において、細胞の増殖と核内分裂により巨核球数の増加と大型化がおこる分化前期にはNrf2が機能して細胞の生存を有利にしており、血小板形成のために細胞死の一形態である胞体突起形成を起こす分化後期にはNrf2に代わりp45が機能するとことを示した。Nrf2欠損マウスでは、初代培養で得られる巨核球数が減少し、恒常的なNrf2の活性化がおこっているKeap1欠損マウスでは、幼若な巨核球が増加する。一方、p45欠損マウスの場合は、巨核球数が減少すると同時に、その終末分化も障害されている。p45 : Keap12重欠損マウスでは、p45が欠損した状態で、Nrf2が恒常的に活性化している。このマウスの初代培養では、得られる巨核球数の減少は回復し、ほぼ正常の数の巨核球が得られた。しかし、巨核球の終末分化は、障害されたままであった。このことから、巨核球の分化初期では、Nrf2とp45が協調的に作用してその増殖を促進するが、分化後期では、Nrf2が代償できないp45固有の機能が必須になると考えられる。(2)細胞増殖と分化における酸化ストレスとMARE依存的転写制御の役割の検討p45欠損マウスの巨核球では、抗酸化蛋白質の発現上昇に加えて、細胞内の活性酸素種の蓄積が減少している。p45が巨核球分化後期にNrf2を競合的に抑制し、活性酸素種を蓄積することを、p45 : Nrf22重欠損マウスの巨核球の解析から明らかにした。また、NACが巨核球分化を抑制することを見いだした。これらより、p45が巨核球分化後期にNrf2を競合的に抑制し、活性酸素種を蓄積することが、巨核球分化を推進するものと考えられた。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (12件)
生化学 (印刷中)
Mol. Cell. Biol. 28
ページ: 2758-2770