研究課題/領域番号 |
20012013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80240703)
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研究分担者 |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00272550)
新谷 良澄 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80261965)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 肝発癌 / トランスジェニックマウス / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 脂質代謝 |
研究概要 |
C型慢性肝炎患者の肝臓においては、いくつかの細胞内機能異常が見出されてきている。それらは、核を介した遺伝情報システム異常、小胞体や核における蛋白合成・輸送・分解の異常、そしてミトコンドリアにおけるエネルギー代謝の異常である。私たちはこれまで、主にC型肝炎ウイルス(HCV)コア遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを用いて、HCVの肝発癌への直接的な作用を明らかにしてきた。発癌前の肝ではMAPKシグナル伝達経路が活性化され、HGVは細胞内の遺伝情報システムの異常をもたらすことが明らかとなった。一方、コア蛋白は肝において炎症不在下に酸化ストレス(ROS)発生を亢進させている。コア蛋白を発現している肝細胞ではミトコンドリア機能の異常が存在し、それが酸化ストレス産生に関与していることが明らかにされた。これまでのデータでは、ミトコンドリアのコンプレックス1が主な障害箇所であったが、今回、ミトコンドリア・シャペロンであるプロヒビチンを介してコンプレックス4の機能障害も引き起こし、酸化ストレスの増加へ繋がることも明らかとなった。 プロテアゾーム・アクティベーター(PA)28γがHCVコア蛋白と相互作用することを我々は既に報告してきた。今回、脂質代謝関連遺伝子の転写因子である核内受容体PPARαが、同じく核内受容体であるRXR-αを介して、コア蛋白によって活性化されることが明らかになった。コア蛋白によって引き起こされている肝細胞ミトコンドリア電子伝達系機能障害と相まって、脂肪酸増加→PPARα活性化→酸化ストレス増加→ミトコンドリア機能障害→脂肪酸増加という負のスパイラルを引き起こし、肝癌の発生に深く関与していることが明らかになった。
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