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2009 年度 実績報告書

ゲノム不安定性を示すマウスを利用した新しいがん抑制遺伝子の単離とその機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 20012016
研究機関金沢大学

研究代表者

鈴木 健之  金沢大学, がん研究所, 教授 (30262075)

キーワードゲノム不安定性 / レトロウイルス / 挿入変異 / 疾患モデルマウス / がん関連遺伝子 / ヒストン修飾
研究概要

申請者は、レトロウイルスの感染によって白血病を発症するモデルマウスを用いて、ウイルス挿入の標的となる遺伝子群を網羅的に同定し、その機能や相互作用の解析を通して、発がんに関わる遺伝子の探索を行っている。従来の挿入変異では、ウイルス挿入で発現や機能が活性化されるがん遺伝子が主に同定され、不活性化されるがん抑制遺伝子は、ほとんど同定されなかった。そこで、ゲノム不安定性を示す変異マウスにウイルス挿入変異を適用し、両アリルへの変異導入効率を高めて、がん抑制遺伝子を効率的に単離する独自の実験系を確立した。これまでの解析から、高頻度に単離される標的として、ヒストンのメチル化酵素17種と脱メチル化酵素11種を同定した。メチル化、アセチル化、リン酸化などヒストンの翻訳後修飾は、転写制御、DNA複製、X染色体不活性化をはじめとする様々な生物学的現象に関与している。ヒトのがんでは、ヒストンのアセチル化酵素の変異や脱アセチル化酵素の発現異常が検出され、脱アセチル化酵素の阻害剤が既に抗がん剤として開発されている。一方、メチル化を制御する酵素群もまた、がんの新しい分子標的の有力な候補と考えられるため、同定した酵素について、遺伝子発現に与える影響の網羅的な解析を進行している。本年度は、食道がんで高発現が見られるJmjd2c脱メチル化酵素が、Mdm2がん遺伝子の発現上昇を誘導し、細胞内のp53がん抑制遺伝子産物の減少を引き起こすことを明らかにした。その際、Mdm2遺伝子発現制御領域にJmjd2cがリクルートされ、その領域に存在するヒストンH3の9番目のリジン(H3K9)の脱メチル化を介して、クロマチン構造を転写抑制状態から転写活性化状態に変換することを見いだした。このように、標的遺伝子の発現とともに、その発現制御領域でのヒストンの翻訳後修飾の変化を調べることで、がん細胞における遺伝情報発現異常の本質を理解していきたい。

研究成果

(5件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Jmjd2c histone demethylase enhances the expression of Mdm2 oncogene.2009

    • 著者名/発表者名
      Ishimura A, Terashima M, Suzuki T
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun. 389

      ページ: 366-371

    • 査読あり
  • [学会発表] Transcriptional regulation by the JmjC-domain-containing proteins involved in cancer.2009

    • 著者名/発表者名
      Terashima M, Suzuki T
    • 学会等名
      第32回分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      2009-12-09
  • [学会発表] Involvement of protein methyltransferases and demethylases in oncogenesis identified by viral insertional mutagenesis.2009

    • 著者名/発表者名
      Suzuki T
    • 学会等名
      第68回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      2009-10-01
  • [学会発表] Functional analysis of Jmjd5, a candidate cancer gene identified by retroviral insertional mutaeenesis.2009

    • 著者名/発表者名
      Ishimura A, Suzuki T
    • 学会等名
      第68回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      2009-10-01
  • [学会発表] Involvement of histone methyltransferases and demethylases in mouse retrovirus-induced leukemia/lvmnhoma.2009

    • 著者名/発表者名
      Suzuki T
    • 学会等名
      The 9^<th> Awaji International Forum on Infection and Immunity
    • 発表場所
      Awaji Yumebutai Conference Center (Hyogo)
    • 年月日
      2009-09-09

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公開日: 2011-06-15   更新日: 2016-04-21  

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