生体内の腫瘍組織において"がん幹細胞"として機能する細胞の局在、そのニッチとなる微小環境、および分子署名を明らかにするため、ヒトのメラノーマに類似する色素細胞系譜の悪性腫瘍を自然発症する動物モデルを作製することを考案した。まずヒトの皮膚と同様にマウス皮膚の表皮で恒常的にKit ligandを発現似る組織像を得た。色素細胞系譜特異的に変異Rasを導入することによりよりヒトのmelanoma in situに類似する像を得た。さらにp53遺伝子を欠損させると生後2-3ヶ月頃より急速に増大する腫瘍が発生し、生腫瘍中心部分の壊死がしばしば見られた。メラノーマにおいてしばしば変異を認めるがん抑制遺伝子Ink4aの欠損によっても同様のモデルを得ることが出来た。組織学的にも分裂像を多く認めメラノーマと診断した。今後はこれらの成果を踏まえ、色素幹細胞との関連およびがん幹細胞研究へと発展させる予定である。
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