研究課題
自然免疫制御因子であるASCの細胞死制御への関与を明らかにするという目的で研究を行い、以下の成果を得た。平滑筋培養細胞で血清除去を行った所、野生型細胞は生存数が減少する一方、ASC欠損細胞は細胞数が増え続け、オートファージーが顕著に見られた。ASC欠損細胞に3MAを作用させると細胞数が減少したことからその生存がオートファジー依存的であると考えられた。また、ASC欠損細胞のAMPKが活性化し培地からグルコースを除去すると細胞死することから、エネルギー産生能が低下しATP産生は解糖系に依存していると示唆された。ATP産生を両細胞で比較すると、ASC欠損細胞はその程度が野生型細胞に比べ低く、低栄養状態でATPはさらに激減した。そして低栄養条件下のASC欠損細胞にATPを作用させると細胞死が誘導された。また同条件下で細胞周期調節蛋白質を調べると、サイクリンD1が野生型で誘導されるが、ASC欠損細胞では誘導されないことが判明し、ATPをASC欠損細胞に加えると細胞死とサイクリンD1の誘導が見られた。以上、飢餓というショック状態においてASCがATPを介してサイクリンD1を誘導し細胞死をもたらす現象を認めたが、サイクリンD1誘導による細胞死は神経細胞で既に報告があり、そのような細胞死にASCが上流で関与することを暗示させる成果である。自然免疫でもATPは上流制御因子として必要であり、自然免疫・細胞死制御面で新たなASC機能を示唆する成果として意義あるものと考えられた。
すべて 2008
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Circulation 17
ページ: 3079-3087
J. Histochem & Cytochem 271
ページ: 9-12