研究概要 |
A1b-uPA免疫不全マウスは常時10匹を維持している。このマウスの雌雄を交配すると4分の1にA1b-uPAをホモにもつ子マウスができる。生後3週のホモマウスにDsRed2遺伝子で肝細胞を赤くマークしたマウス肝臓から初代肝細胞を調製し、A1b-uPAホモマウス脾臓に5×10^5個の肝細胞を移植した。4週後に肝臓を観察したところ、約半分が赤色にマークされた肝細胞に置換されていた。この結果に基づき、ヒト肝細胞を5×10^5個ホモマウス脾臓に移植したところ、4週後にヒト肝細胞がかなりの領域を占めていることが確認できた。 一方、ヒトSR-BI(scavenger receptor class B type I), CD81, claudin-1を肝細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製した(6系統)。肝細胞抽出液を用いたウエスタンブロット法により、ヒトSR-BI, CD81, claudin-1の3蛋白が発現をしているマウスが2系統いることが判明した。さらに、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染にはoccludin蛋白も重要であるという報告があった(Nature 457:882-886, 2009)ので、ヒトoccludin蛋白を肝細胞特異的に発現しているトランスジェニックマウスを作製中である。また、マウスL細胞にヒトSR-BI, CD81, claudin-1, occludin蛋白を発現した永久株細胞も作製中である。マウスの初代肝細胞や永久株細胞に対するHCVのE2蛋白の結合定数を測定することで、SR-BI, CD81に対するclaudin-1, occludinの影響を明らかにできると考えている。
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