研究概要 |
RB1CC1はRBを介した細胞増殖抑制の系とTSC-mTOR-autophagyを介した蛋白合成・制御、細胞成長の系をクロストークさせながら、組織、生体の恒常的システム維持に貢献する。本年度はRB1CC1が細胞核内に入り、RB経路の転写へ貢献する内容について、詳細に解析した。 RB1CC1分子は細胞核内でhSNF5, p53両分子と転写因子複合体を形成する。これら転写複合体はp16, p21, RB1すべての発現を亢進させ、RB経路を増強し、細胞増殖を抑制することが明らかとなった。 更に、RB1CC1の発現状態が乳癌症例の生存率に大きく関与していることが明らかにできた。このことは、乳癌症例数323、10年近くにわたる経過解析においても確認された。RB1CC1の細胞核内の局在を病理標本において簡便に判別することによって、臨床的予後が推定でき、治療選択の一指針にもなり得ることが明らかになった。更に、RB1, p53の免疫組織化学的評価と組み合わせることによって、ER, PgR, Her2を用いたtriple-negative乳癌の鑑別に同等、もしくはそれ以上の精度で予後判定が可能であることも解った。
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