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2008 年度 実績報告書

環境破壊によって増大する発がんリスクとその分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 20012030
研究機関大阪大学

研究代表者

菱田 卓  大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60335388)

キーワードDNA損傷トレランス / DNA修復 / DNA複製 / 酵母 / 突然変異 / 紫外線
研究概要

ゲノムDNAは、電離放射線、紫外線、化学物質などの外的要因や活性酸素などの内的要因によって絶えず損傷を受けている。これらの損傷は、いずれも量的には細胞死を引き起こすようなレベルではないにもかかわらず、ヒトにおいては発がんや老化と密接に関わっていることから、このような致死的ではない低レベル損傷を生物が長時間に渡って受け続けた場合の影響を明らかにし、その防御機構を理解することは非常に重要である。本研究では、自然界で問題になるようなレベルの紫外線に着目し、自ら作成した断続的に低レベルの紫外線を照射した条件(CLUV)で酵母細胞を培養できる実験系を用いて、細胞の損傷ストレス耐性機構の解析を行った。これまでの紫外線損傷応答の研究から、紫外線損傷の修復に関わるヌクレオチド除去修復(NER)の欠損株は高い致死率を示すことが知られていたが、興味深いことに本実験系においては致死とはならず野生型株同様に増殖可能であることを見いだした。一方で、野生型株はCLUV下においても突然変異の上昇は見られなかったが、NER欠損株は、時間と共に顕著に突然変異頻度の上昇が見られた。さらに、この変異スペクトラムを解析したところ、ヒトのNER機能を失ったXP(色素性乾皮症)細胞に見られる変異スペクトラムと極めて類似していることを見いだした。このように、本実験系は、XP患者に見られる高発がん性を引き起こす分子メカニズムを理解する上で有用なモデルとなりうることがわかった。現在、CLUV依存的な突然変異誘発に関する詳細な分子メカニズムの解明を行っている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] RAD6-RAD18-RAD5 pathway-dependent tolerance to chronic low-dose UV light2009

    • 著者名/発表者名
      Hishida, T., et.al.
    • 雑誌名

      Nature 457

      ページ: 612-615

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Essential and distinct roles of the F-box and helicase domains of Fbhl in DNA damage repair2008

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi, C., et.al.
    • 雑誌名

      BMC Mol. Biol. 9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A SUMO-like domain protein, Esc2, is required for genome integrity and sister chromatid cohesion in Saccharomyces cerevisiae2008

    • 著者名/発表者名
      Ohya, T., et.al.
    • 雑誌名

      Genetics 180

      ページ: 41-50

    • 査読あり
  • [学会発表] 環境レベルの紫外線損傷に対する細胞の耐性機構2009

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 学会等名
      染色体ワークショップ
    • 発表場所
      姫路(兵庫県)
    • 年月日
      2009-01-26
  • [学会発表] The yeast RAD6 pathway-dependent tolerance to chronic low-dose UV light2008

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 学会等名
      The 6^<th> 3R symposium
    • 発表場所
      嬬恋(静岡県)
    • 年月日
      2008-10-30
  • [学会発表] CLUV損傷に対する細胞応答機構2008

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 学会等名
      ユビキチン研究会
    • 発表場所
      嬬恋(静岡県)
    • 年月日
      2008-10-06
  • [学会発表] Tolerance mechanism to chronic low-dose UV light in yeast2008

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 学会等名
      Yeat genetics and molecular biology meeting
    • 発表場所
      トロント(カナダ)
    • 年月日
      2008-07-26
  • [学会発表] The yeast RAD6 pathway suppresses counter productive DNA damage checkpoint activation2008

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 学会等名
      International symposium on Chromosome Dynamics
    • 発表場所
      伊勢(三重県)
    • 年月日
      2008-05-28
  • [図書] 蛋白質核酸酵素2009

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 出版者
      共立出版(in press)
  • [図書] 生化学2008

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      日本生化学学会

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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