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2009 年度 実績報告書

Duplin/CHD8によるp53の機能抑制と発がんに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20012040
研究機関九州大学

研究代表者

西山 正章  九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50423562)

研究分担者 白根 道子  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (90398082)
松本 雅記  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60380531)
束田 裕一  九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (90444801)
キーワード遺伝子 / 発生・分化 / 癌 / 老化
研究概要

高等真核生物の初期発生における細胞周期の高速回転時において、DNA複製チェックポイントの中心分子であるp53の存在は危険である。つまり正常発生時に容易にDNA複製チェックポイントが活性化され、結果としてp53依存性アポトーシスが誘導される危険を伴う。それ故、初期発生においてはp53を不活化し、有害なアポトーシスを抑制する機構が存在するはずである。p53機能の制御については転写レベルや翻訳後修飾などの観点から研究が進んできたが、そのエピジェネティック制御については今までよく分かっていなかった。
われわれはプロテオミクス解析により、クロマチンリモデリング因子Duplin/CHD8がp53に結合することを見出した。さらにCHD8はピストンH1とも結合し、p53/CHD8/ピストンH1三量体がDNA上に形成されることが明らかとなった。つまりCHD8が存在するとp53にヒストンH1がリクルートされ、クロマチン構造が変化してp53の転写活性化能は失われる。
CHD8は発生初期に高発現し、成長に伴ってその発現は急速に低下するので、発生初期に重要な役割を果たしていることが示唆された。CHD8のノックアウトマウスは発生早期にアポトーシスの異常な亢進によりマウス胚が死亡する。このときp53も同時に欠損させるとこのアポトーシスは回避され、マウスは延命した。これらの遺伝学的証拠はCHD8が発生初期におけるp53の強力かつ生理的な抑制因子であることを示している。
これらの結果より、初期発生においてCHD8はクロマチン上に結合しているp53すらも抑制できる強力な「抗p53最終機構」として、p53の暴走を防ぐことにより正常な発生を保証していると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Epigenetic control of p53 function by CHD8 through recruitment of histone H12010

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Nishiyama, Keiichi I.Nakayama
    • 学会等名
      第13回日米科学技術会議
    • 発表場所
      Bethesda
    • 年月日
      2010-02-25
  • [学会発表] 発生過程におけるアポトーシスの新しい制御機構:クロマチンリモデリングによるp53のエピジェネティックコントロール2010

    • 著者名/発表者名
      西山正章
    • 学会等名
      第21回東北大学NM-GCOEセミナー
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2010-01-27
  • [学会発表] 初期発生においてp53機能を抑制するクロマチンリモデリング因子CHD82009

    • 著者名/発表者名
      西山正章, 中山敬一
    • 学会等名
      第32回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-12-11
  • [学会発表] 発生過程におけるアポトーシスの新しい制御機構:CHD8/ヒストンH1複合体によるp53のエピジェネティックコントロール2009

    • 著者名/発表者名
      西山正章, 中山敬一
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-10-21
  • [備考]

    • URL

      http://www.bioreg,kyushu-u.ac.jp/saibou/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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