研究課題/領域番号 |
20012041
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大川 恭行 九州大学, 医学研究院, 特別准教授 (80448430)
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研究分担者 |
岡田 誠司 九州大学, 医学研究院, 特別准教授 (30448435)
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キーワード | Chd2 / 骨格筋 / H3.3 / ATP依存的クロマチンリモデリング因子 / クロマチン / プロモータ / ヒストンバリアント |
研究概要 |
ATP依存的クロマチンリモデリング因子SWI/SNF familyは、ATP依存的にクロマチン構造を変換することによって遺伝子の転写を制御している。現在までに、骨格筋分化において、クロマチン構造変換よりも前段階で骨格筋分化に関わる遺伝子群が統合的に制御されるメカニズムがあることが示されている。Chd2は、SWI/SNF familyのひとつと予測されているが、その機能はまだ明らかとなっていない。我々は、Chd2遺伝子変異マウスを作製し、このマウスが個々の組織において秩序だった遺伝子発現パターンが消失し高頻度に発がんすることを見出した。そこで、chd2遺伝子が骨格筋分化における高次遺伝子制御に関わっているかについて検討した。新たに作出したChd2mAbを用いたクロマチン免疫沈降法によって、Chd2は骨格筋の分化マーカー遺伝子のプロモーター領域に遺伝子発現よりも前の段階でリクルートされていた。さらに、CHD2の機能阻害を行ったところ、骨格筋への分化が抑制された。そこで、更にChd2の分子機能を解明するために、抗体アフィニティクロマトグラフィーにより、Chd2複合体の精製を行った。その結果Chd2はヒストンバリアントH3.3及び筋特異的転写因子群と選択的に複合体を形成することが明らかとなった。ゲノムワイドにH3.3筋が取り込まれている領域を探索したところH3.3はプロモーターやエンハンサー等の制御領域にはChd2の活性依存的に取り込まれるのに対し、他のゲノム領域への取り込みには関与していなかった。これらChd2を介する選択的なH3.3特異的の取り込みは他のクロマチン制御と比しても極めて早い段階で行われており、その破綻ががん化に関わっていることからも今後も詳細な分子メカニズムについて引き続き解析が求められる。
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