研究概要 |
我々は、染色体の再複製抑制機構の研究からライセンス化因子Cdt1は、そのN末端にPCNA結合部位を持ち、複製に伴いPCNAが染色体に結合すると、Cu14-DDB1^<Cdt2>によりユビキチン化を受け分解されることを報告した。このCu14-DDB1^<Cdt2>によるCdt1の分解は、UV照射などのDNA傷害を受けた場合にも、同様に誘導される。本研究では、Cu14-DDB1^<Cdt2>複合体の修飾による制御、DNA損傷とCdt1の分解の関連性を検討した。 1) Cdt2は、Cdt1の分解に関わるS期において高度にリン酸化されている。同様に、UV照射後のCdt2のリン酸化を調べたところ、UV強度に依存してリン酸化されることを明らかにした。この場合のCdt1の分解はG1期に起こるが、実際G1期においてCdt2のリン酸化が認められた。ATM/ATRチェックポイントキナーゼの阻害剤カフェインやMAPキナーゼインヒビターにより、リン酸化の低減が見られたので、これらのキナーゼの関与が示唆された。 2) 3-5マイクロメーターのボアを持つメンブレンを用いて、細胞の核に局所的にUVを照射し、Cdt1, Cdt2, PCNAのDNA損傷部位への集積を調べた。UV照射10分後には、これらの分子の損傷部位への集積が観察された。その後、Cdt1の核内シグナルは消失した。PCNAをサイレンシングすると、Cdt1やCdt2の集積見られなかった。従って、Cdt1は、PCNA依存的にDNA損傷部位に集積後、同様に集積したCu14-DDB1^<Cdt2>によりユビキチン化を受け、分解されると結論した。
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