研究課題
RAPLは、RASSFfamilyに属するRassf5(Norela)のalternative splicining formである。近年、Rassf5は、肺がん、肝がん、リンパ腫を始めとする様々な癌においてその発現が欠失していることがわかり、癌抑制遺伝子として注目されている。実際、RAPL欠損マウスは、肺がん、肝がん、B細胞リンホーマを発症する。RAPLがどのような分子機構で、癌の発症を抑制しているのかを解明することは、発がんのメカニズムを考える上でも重要である。Rassf5が、Hippo pathwayホモログを制御していることが示唆されているが、我々は、RAPLの下流でMst1が会合し、RAPL依存性に活性化されることを明らかとしている。従ってMst1を介するカスケードが癌抑制に関与する可能性を、Mst1ノックアウトマウスを作製し、検討した。このマウスはT細胞のhyperproliferationを示すものの、RAPL欠損マウスと違い、癌の発症は認められなかった。一方、RAPLは、p27kip1の細胞内での局在を10番目のセリンのリン酸化を介して核内への輸送を促進することで増殖を抑制している可能性が示唆されている。そこでセリンをアラニンへ置換したノックインマウスとRAPL欠損マウスと掛け合わせ、RAPL欠損による増殖亢進が影響されるかどうか検討した結果、有意に低下することが判明し、RAPLの増殖抑制作用はp27のリン酸化に依存することが証明された。さらに、RAPLによる癌抑制機能もp27のリン酸化に依存するのかどうか、あるいはHippo pathwayホモログに依存するのかMst1とMst2のダブルノックアウトマウスを作製し、検討中である。
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J. Immunol 81
ページ: 6189-6200
EMBO J (In press)