研究課題
血管新生促進因子であるVEGF/Thrombin刺激によってCn-NFATc経路が活性化され、その特異的feedback因子であるダウン症候群関連因子のshort-form(DSCR-1s)が誘導される。本因子のpromoter領域をマウスの特定領域(Hprt-locus)にknock-inしたマウスを樹立し、包括的なDSCR-1s発現のin vivo制御解析を行ったことを昨年度までに報告した。さらに、マウスに炎症性因子LPSや内皮増殖性因子VEGFの刺激を付加することによる発現変動をみたところ発現の認められる臓器(脳、心臓、腎臓、肺)では血管特異的にDSCR-1sが誘導される結果が得られた。このDSCR-1sのin vivo機能を調べるために血管内皮選択的なadenovirus vectorを用いたDSCR-1sの強制発現系とDSCR-1 knockoutマウスを用い、始めにLPS septic shockでの影響を調べたところ、DSCR-1 KOの場合、肺、心臓において内皮活性化接着因子の発現がWTマウスに比べさらに亢進し、炎症浸潤と心機能の低下に伴い、高い致死率を示すこと、一方DSCR-1s強制発現マウスではLPS shockに強い抵抗性を示す、即ちDSCR-1sが優れた抗炎症性作用を示すことが明らかとなった(revised, 再投稿中)。現在DSCR-1sの抗炎症作用と腫瘍血管新生、肺への腫瘍細胞の転移が顕著に抑制されることとの共有機構を解析中である。またVEGF-NFATc経路で2番目に誘導される転写因子Egr3がVEGF活性化での炎症、遊走、血管新生のpositive factorとなっていることを見出した(投稿中)。さらに血管内皮特異的遺伝子発現において重要とされるGATA転写因子のうち、大血管内皮で選択的にかつ支配的に発現するGATA3がTie2発現維持に深く関わり、Angiopoietin 1-Tie2を介する内皮遊走、抗アポトーシス、血管新生、抗炎症作用に密接に関与していることを明らかにした(revised, 再投稿準備中)。
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