研究課題
これまでに低酸素反応性因子HIFに関して新規因子の同定と解析を行ってきた。この中で、HIF2に特異的に結合し、HIF1とは異なった蛋白安定性の機序を示す因子Int6/eIF3eを同定した(Chen et al JBC 2007)。Int6はマウス乳ガン発症ウイルスがゲノムにIntegrationされる際の6番目の一であることから命名されており、マウスの乳ガン発症に不可欠との報告がなされていた。これまでの解析では、Int6はpVHLとは異なった機序でHIF2を特異的に分解し、さらにはHIF2によるInt6のプロモーター制御をも介したNegative Feedback機序に重要な役割を演じていることが判明した。さらにInt6に特異的なsiRNAをマウスの皮下に発現させたところ、非常に強力に、正常動脈・静脈を誘導した。このことから、Int6はHIF2を介した血管新生のマスタースイッチの一つであることが明らかになった。本申請では、これらの結果を基に、癌化、特に乳ガンの癌化機序に関してKOマウス、およびヒト乳ガンサンプルを用いて解析を進めることを目的とした。(1)KOマウスの作製において、Int6は本来翻訳調節因子としての役割を持ち、KOにより致死的な影響が考えられたため、新潟大学との共同研究にて、conditional KOマウス作製のためのベクターを構築し、マウス胚細胞への導入を行い、ポジティブ細胞を選別している。本過程が終わり次第、KOマウス作製のための本格的な実験を始める予定である。(2)Int6が調節する正常血管新生は、皮膚へのsiRNA-Int6の導入にて明確になったが、その生理学的な意味の解明が十分でないため、ラット脳卒中モデル、心筋梗塞モデルに導入したところ、予備的な実験にて、著明な改善傾向が認められた。また皮膚損傷モデルへの導入にて、1日目より明かな治癒改善傾向が認められ、さらに血管の新生、および治癒過程における各種増殖因子、血管新生因子の分泌が証明された。
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J Anesth 22
ページ: 253-62
Exp. Mol. Med (in press)
http://www.rinshoken.or.jp/MCP/Index/ganseikatu_index.htm