ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染により惹起される成人T細胞白血病(ATL)、HTLV-1関連脊髄症(HAM)の感受性遺伝子多型を解析し発症危険群の同定を目的として、SNPを用いた全ゲノム関連解析(GWAS)による疾患関連SNPの同定を試みた。熊本で収集されたATL患者258検体と無症候性HTLV-1感染者182検体(Set1)、鹿児島で収集されたHAM患者296検体と無症候性HTLV-1感染者100検体(Set2)のGWASを行った。その結果Set1に関しては、p=2.50×10^<-7>をはじめとして、p<1×10^<-5>のSNPが29個、Set2に関してはp=2.00×10^<-6>をはじめとして、p<1×10^<-5>のSNPが52個得られた。これらの多型は、疾患感受性遺伝子の候補となるものであるが、真の疾患感受性遺伝子の証明には、独立した集団の検体を用いた再現性検証が必須である。そのため、新たに収集された検体を用いた候補SNPのタイピングを行い、結果の比較を通して、真の感受性遺伝子の同定を進めている。今後は、疾患関連SNPの生物学的活性の解析を通して同定された疾患感受性SNPが発症を促進する機序を明らかにするため、SNPがその分子に付与する機能について解析する。
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