研究課題
がん研究におけるプロテオミクス解析の最も有効なストラテジーを構築するため、最先端の高感度・分解能・解析速度をもつプロテオミクス解析技術のがん研究への応用と方法論の確立を行っている。本年度は脳神経系腫瘍の薬剤治療標的となりうる分子シグナルを検索するため、病態組織細胞サンプルを用いた統合プロテオミクスの方法論確立を試みた。分子発現差異解析法であるiTRAQ(8Plex)法、2D-DIGE法、およびDNA arrayを融合的に用いて同一サンプル群を同時に解析し、得られたすべての情報を統合マイニングすることによって、病態において異常に制御されたシグナル伝達経路を特異的に抽出する方法論を検討した。全てのデータを統合マイニングし、重要分子シグナル群を抽出するための統合マイニング解析プログラム[MANGO (Mol.Cell.Proteomics 2009), iPEACH(特願2010-81525)]を考案し、さらに抽出重要分子群の迅速検証法、siRNA、阻害剤、活性化剤等を用いた生物学的機能解析法などを検討することによって、スタンダードとなりうる一連の統合的方法論の開発を行った。特に悪性グリオーマの薬剤感受性に関わる分子群の解析、および検証に応用し、新規の抗がん剤感受性低下に関わるシグナルVimentin activation loopを見出した(特願2010-81524)。又、如何に融合技術によって大量に得られたプロテオームデータを迅速に処理し、重要機能分子群を抽出して検証する方法論が重要かつ有用であるか、創薬の観点から考察した。これらの方法論はすべての疾患・病態の解析はもとより、細胞生物学における基礎的な分子メカニズム情報を得るためのアプローチにも応用でき、蓄積されたデータベースを活用することによって、新しい病態メカニズムの解明や診断や治療のマーカー・創薬開発に重要な基礎情報を得る方法論として有用であると考えられる。
すべて 2010 2009
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