研究課題/領域番号 |
20014022
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
米澤 傑 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175002)
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研究分担者 |
後藤 正道 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80325779)
東 美智代 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60315405)
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キーワード | MUC1 / MUC2 / MUC4 / 予後因子 / DNAメチル化 / DNAメチル化定量解析システム / ヒストン修飾 / クロマチン免疫沈降法 |
研究概要 |
ヒトの様々な腫瘍において、MUC1(汎膜結合ムチン)とMUC4(気道型膜結合ムチン)は予後不良因子で、MUC2(腸型分泌ムチン)は予後良好因子であることを示してきたことを基盤として、各ムチンの発現機序の解明に着手し、これまでに、MUC2遺伝子の発現にはプロモーター領域のDNAメチル化やヒストン修飾といったエピジェティクスが関連していることを、methylation specific PCR(MSP)法やクロマチン免疫沈降(ChIP)法により解明してきた。今年度は、予後不良因子であるMUC1とMUC4のエピジェネティクスについて検討した。 MUC1が低発現の膵癌・乳癌・大腸癌細胞株を5-aza-2'-deoxycytidine(5-azadC)とtrichostatin A(TSA)で処理するとMUC1 mRNAの発現が回復し、MUC1の発現にDNAメチル化やヒストン修飾が関連している可能性が示された。そこで、各々の細胞株に対するMUC1プロモーター全領域のシークエンシングを行い、その配列を元に質量分析によるDNAメチル化定量解析法(MassARRAY法)、MSP法、ChIP法を用いて、DNAのメチル化状態やヒストンの修飾状況を検討した結果、MUC1発現制御には、転写開始付近におけるCpGのメチル化状態やヒストンH3-K9修飾状態の双方が関与していることが示された。 MUC4についても同様の検索を行ったところ、MUC4の低発現癌細胞において、5-azadCとTSAの処理により、MUC4 mRNAの発現が回復し、MassARRAY法とMSP法によりMUC4発現制御にDNAメチル化が関与していることが明らかになった。 さらに、ヒト組織から、マイクロディセクション法でMUC1ムチン発現が陽性の箇所のみを採取した検体においてはMUC1の遺伝子プロモーター領域は非メチル化の状態であった。この結果は細胞株での検索結果に一致しており、実際のヒト組織においてもMUC1の遺伝子発現機構にエピジェネティクスが関与していることを明らかにした。
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