研究課題
多施設共同の大規模なコホート研究Japan Collaborative Cohort Study(JACC Study)【1988年から90年に40-79歳の男女約11万人を対象に開始】の追跡を行い、ベースラインデータ、中間調査データなど基礎となる情報に2006年までの死亡(追跡調査)データをマージした。2006年までの死亡追跡により、各部位の死亡者数は、食道がんは218例、卵巣がんは81例、腎がん(腎盂も含む)99例、膀胱がん148例、骨髄性白血病101例などとなっている。また、2001年までの罹患数は食道がん99例、子宮体がん69例、卵巣がん48例、腎がん(腎盂も含む)79例、甲状腺がん118例、多発性骨髄腫31例などである(罹患把握地域が限定されているため、死亡数に比べ数が少ない)。今年度の成果として、腎がんにつき検討したところ、高血圧の既往、収縮期血圧、拡張期血圧が高いことが有意にその罹患リスクを上昇させていることが明らかとなった。糖尿病の既往、肥満もリスクを上げていたが、有意ではなかった。また、コホート内症例対照研究の手法によりがん死亡者と対照で診断前に採取した血清sFas値を比較したところ、がんの患者では有意に高値であることが判明した。この結果は、アポトーシスに関連するsFas値を測定することで、がんのハイリスク者を同定することができるかもしれないことを示唆している。今年度は2006年までの死亡情報を追加した。来年度は目標である2009年までの追跡を達成するため、2008年までの人口動態統計資料の目的外利用申請を総務省に行う予定であり、罹患情報の確定も進める。追加された追跡情報を用いて更なる検討を行うことで、今後がんの予防対策に資する情報が得られると期待される。なお、各施設と事務局との情報のやり取りには個人識別情報は外してIDを用いている。
すべて 2008 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Int Med J 15
ページ: 343-7
Int J Cancer 123
ページ: 1913-6
Cancer Causes Control 19
ページ: 931-7
Pancreas 37
ページ: 25-30
J Epidemiol 18
ページ: 77-83
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 17
ページ: 3396-401
Int J Cancer 122
ページ: 924-9
http://www.aichi-med-u.ac.jp/jacc/index.html