研究課題/領域番号 |
20015003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原島 秀吉 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (00183567)
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研究分担者 |
紙谷 浩之 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (10204629)
山田 勇磨 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (60451431)
畠山 浩人 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 特任助教 (70504786)
馬場 嘉信 名古屋大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30183916)
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キーワード | 遺伝子治療 / siRNA / デリバリーシステム / 多機能性エンベロープ型ナノ構造体 |
研究概要 |
本研究では、我々が独自に開発したin vivoがん送達型多機能性エンベロープ型ナノ構造体(PPD-MEND)に、がん細胞で選択的に発現している遺伝子に対するsiRNAを搭載し、抗腫瘍効果を誘起することができ、かつ、安全性の高い人工遺伝子デリバリーシステムを開発し、がん治療へと応用することを最終目標とした。 まず、効率的な細胞性免疫を誘導するためには、抗原をMHCクラスIに提示させる必要があるが、そのためには抗原を細胞質に送達させる必要がある。OVAを内封したR8-MENDをDCに取り込ませ、その抗原提示量を測定した結果、R8-MENDはMHCクラスIIへの提示効率は低く、特異的なMHCクラスI抗原提示を示した。さらにR8-MENDを用いて皮下免疫したマウス群では、コントロール群と比較して著しい腫瘍増殖抑制効果が認められた。 そこで、プロタミンを用いてsiRNAのコアを調製し、GALA/DMENDを調製した。GALA/DMENDを用いてSOCS1をノックダウンしたDCをマウスに投与し、E.G7-OVAを用いた抗腫瘍活性評価を行った。その結果、control siRNAを用いた群に比較して有意に腫瘍増殖が抑制されており、SOCS1に対するsiRNAの導入によりDCの抗腫瘍効果を増強することに成功した。 さらに、HT1080皮下移植マウスへ静脈内投与(4mg siRNA/kg)すると、標的ヒトロ-actinのmRNAが60%以上ノックダウン可能であった(特願2010-39667)。またshGALA-MEND投与後の体重変化や肝毒性は観察されず、炎症性サイトカインの産生もわずかであった。以上の結果より、shGALA修飾PBG-MENDは静脈内投与後に腫瘍組織でmRNAをノックダウンし抗腫瘍効果を誘起可能で、また安全性にも優れたデリバリーシステムであることが示唆された。
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