研究課題
Notchシグナル阻害剤は、細胞内在性で制御を失ったNotchシグナルを阻害することによる直接的な腫瘍細胞死の誘導に加え、腫瘍血管新生におけるNotchシグナルを阻害することによる間接的な腫瘍退縮効果という重複する効果を持つ可能性があり、新たな分子標的抗腫瘍薬として期待される。本研究課題ではNotchシグナル阻害剤の開発的研究を行い、以下の成果を得た。(1)Notchシグナルの中心的経路である核内複合体形成を標的としたin silico分子設計の結果絞られた200種類の候補低分子化合物について、Notchシグナル阻害効果および抗腫瘍効果を検討した。その結果、数種類の化合物について有望な結果が得られたため、開発にむけ検討を続けている。(2)申請者らは以前から、Notch受容体のリガンドの一つであるDelta1の細胞外領域に免疫グロブリン定常部分を融合させたDelta1-Fcの抗腫瘍効果について検討を進めてきた。過去の研究では、抗腫瘍免疫を介するin vivo抗腫瘍効果を示してきた。今回、血管依存性の強いヒト癌細胞株を免疫不全マウスに移植する実験系を用い、明確な抗腫瘍効果を確認した。他のグループから別なNotchリガンドDelta4由来融合蛋白であるDelta4-Fcによる、新生腫瘍血管の異常誘発による強力なin vivo抗腫瘍効果が示されていることから、Delta1-Fcによる上記の抗腫瘍効果も同様の腫瘍血管新生阻害によるものであると推察している。今回の実験系では、Delta1-Fcによる抗腫瘍効果はDelta4-Fcによる効果と同等であった。今後別な細胞腫などを用いて両者の比較検討を行う。
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