我々が開発したSTAT3阻害剤スクリーニング法によって同定した低分子化合物のうち、骨髄腫細胞株の増殖抑制効果が強いRJSI-1およびRJSI-2を解析している。RJSI-2はSTAT3/STAT5とJAK1/2の活性化を抑制するが構造的にはキナーゼ阻害剤ではなく、キナーゼ活性も有しなかった。RSJI-2は20マイクロMの濃度でヒト骨髄腫細胞株KT3、INA6およびKMMIのin vitro増殖をほぼ完全に抑制する。RSJI-1もIL-6依存性細胞株の増殖を抑制するが、Jak1/2およびSTAT3のリン酸化の抑制は軽度である。興味深いことにリン酸化されたSTAT3の核内移行が抑制されていた。また、RJSI-1は活性化されたリン酸化STAT5の核内移行も阻害した。これらの結果は、活性化STAT3/5の核内移行阻害がRJSI-1の作用機序であり、RJSI-2とは異なることを示している。今年度は、RJSI-1およびRJSI-2と精製蛋白質の結合をビアコアT100で検討し、予備的な実験結果を得た。 またRSJI-1の修飾と最適化を米国のベンチャー企業と、またRJSI-2の修飾を国内の製薬企業との共同研究を開始した。RSJI-1に関しては数十種類の修飾化合物をテストして、EC50が低い化合物が取得できた。さらに構造の修飾を考えているところである。一方、RSJI-2に関しては、既知の近縁化合物約百種類との比較によって構造上重要な基本骨格が判明した。
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