研究課題
本研究において、細菌ベクター、細菌菌体成分由来分子を用いて、ヒト及びマウスモデルにて、制御性T細胞(Treg)の抗腫瘍免疫応答抑制作用を解除し、効果的に腫瘍抗原特異的T細胞応答を誘導しえるかを検討した。我々が開発したCD4^+CD25^+Treg免疫抑制活性の新規アッセイ方法により、細菌ベクター(S. typhimurium-NY-ESO-1)を用いて、末梢血CD4^+T細胞よりCD4^+CD25^+Treg存在下に、ヒト癌・精巣抗原NY-ESO-1特異的CD4^+ヘルパーT細胞(Th)の誘導の可否を測定することで、S. typhimuriumのTregの免疫抑制解除の可能性を検討した。S. typhimurium-NY-ESO-1は、CD4^+CD25^+Treg存在下にNY京ESO-1特異的Thを誘導した。また、S. typhimuriumのTregの免疫抑制解除の詳細なメカニズムを検討し、IL-6及びGITRシグナルが極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。この解析結果を踏まえて、マウスモデルにてGITR分子シグナルを新規がんワクチン療法へ応用する可能性を検討した。すなわち、GITR ligand(GITRL)を作製し、腫瘍抗原分子と共に免疫することにより、腫瘍抗原特異的CD8^+T細胞誘導、腫瘍(腫瘍抗原発現株)拒絶効果の増強効果を検討した。腫瘍抗原とGITRLの共免疫により、腫瘍抗原特異的CD8^+T細胞誘導、腫瘍拒絶効果の増強が認められた。また認められた腫瘍拒絶効果の増強は、GITRシグナルによりTreg抵抗性の腫瘍抗原特異的CD8^+T細胞が誘導されたことによることを、抗原特異的細胞を同定する腫瘍抗原ペプチド/MHCマルチマーを用いてsingle cellレベルで明らかにした。
すべて 2008 その他
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