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2009 年度 実績報告書

制御性T細胞の抑制と腫瘍特異的な薬物送達を可能にするVirosomeの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20015029
研究機関大阪大学

研究代表者

金田 安史  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)

キーワード抗腫瘍免疫 / HVJ / 制御性T細胞 / IL-12 / 癌治療
研究概要

HVJ-Eはそれ自体が抗腫瘍免疫を活性化して抗腫瘍効果を発揮するが、なかでも樹状細胞に作用してIL-6を分泌させ制御性T細胞を抑制するできることは、他の免疫治療剤にはない特長である。IL-6産生にはHVJ-EのF蛋白質が関与する。一方、HVJ-EはInterferon-γの産生は直接促進せず、Effector T cellの増殖や活性化には直接作用しない。この能力が付与できれば、さらに強力な抗腫瘍効果が期待できる。そこでIL-12を表面に付加した高機能化HVJ-Eを作成し、CTL活性の増強を図ることを試みた。すでに報告し、特許化した方法に則って(Human Gene Ther. 2007, BBRC 2007、改変パラミクソウイルスおよびその作製方法WO2007/061141 A1)、HVJの膜蛋白のHNの欠失変異体(mutHN)に免疫グロブリンのFc領域を結合させ、これをもつFc-mutHN-HVJ-Eを作成する。マウスIL-12のp35,p40を遺伝子工学的に一本鎖にして、そのC末端にProtein-AのFc結合部分のZZ domainを付加する。培養細胞で大量に合成させて精製したIL-12-ZZをFc-mutHN-HVJ-Eに付加してIL-12-HVJ-Eを作成する。HVJ-Eの本来のレセプターへの結合を抑えるためintactHNはそのsiRNAをウイルス産生細胞に導入して欠損させる。このような方法によって作製したIL-12結合Virosomeは樹状細胞や脾細胞からInterferon-γを分泌させた。Interferon-α,-βやIL-6の産生能は保持していた。この高機能化HVJ-Eをメラノーマ腫瘍塊に直接投与する実験を行った。高機能化HVJ-Eでは100HAUの3回投与で、著明な抗腫瘍効果が認められ約30%のマウスで腫瘍が消失した。I1-12を結合させずに、HVJ-Eと混ぜ合わせて腫瘍塊に投与すると、腫瘍の消失は数%のマウスでしか起こらなかった。肺にメラノーマの転移結節をつくり、通常のHVJ-E, IL-12結合HVJ-Eを尾静脈より投与した。IL-12結合型HVJ-Eにより2週後の肺転移結節数は有意に減少した。マウスメラノーマにはIL-12受容体の発現が認められるという報告があり、抗腫瘍免疫の活性化以外に、腫瘍巣への標的化が可能になった可能性も示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Sterile alpha motif containing domain 9 (SAMD9) is involved in death signaling of malignant glioma treated with inactivated Sendai virus particle (HVJ-E) or type I interferon.2010

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, M., Shimbo, T., Kikuchi,Y., Matsuda, M., Kaneda, Y
    • 雑誌名

      International Journal of Cancer (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Highly efficient eradication of intracranial glioblastoma using Eg5 siRNA combined with HVJ envelope.2009

    • 著者名/発表者名
      Matsuda, M., Yamamoto, T., M atsumura, A., Kaneda, Y.
    • 雑誌名

      Gene Therapy VOL.16

      ページ: 1465-1476

    • 査読あり
  • [学会発表] 癌治療を目指した高性能免疫賦活化ビロソームの開発2009

    • 著者名/発表者名
      佐賀公太郎、玉井克人、金田安史
    • 学会等名
      第68回日本癌学会学学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2009-10-02
  • [学会発表] 癌遺伝子治療の現況と展望2009

    • 著者名/発表者名
      金田安史
    • 学会等名
      第15回日本遺伝子治療学会
    • 発表場所
      大阪大学コンベンションセンター(大阪府)
    • 年月日
      2009-07-09
  • [学会発表] HVJ-Evectorによる癌治療への応用2009

    • 著者名/発表者名
      金田安史
    • 学会等名
      第25回日本DDS学会
    • 発表場所
      東京ドームホテル(東京都)
    • 年月日
      2009-07-03
  • [学会発表] 癌遺伝子治療の現況と展望2009

    • 著者名/発表者名
      金田安史
    • 学会等名
      第46回日本小児外科学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
    • 年月日
      2009-06-03
  • [学会発表] Novel anti-cancer strategies using HVJ (Sendai virus) envelope vector2009

    • 著者名/発表者名
      金田安史
    • 学会等名
      第10回国際細胞移植会議及び第36回日本臓器保存生物医学会
    • 発表場所
      岡山コンベンションセンター(岡山県)
    • 年月日
      2009-04-20
  • [図書] 日本臨床"ゲノム研究最前線"2009

    • 著者名/発表者名
      金田安史
    • 総ページ数
      197
    • 出版者
      日本臨床社
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gts/

  • [産業財産権] 高機能化HVJ-E2009

    • 発明者名
      金田安史, 佐賀公太郎
    • 権利者名
      大阪大学、ジエノミディア株式会社
    • 産業財産権番号
      特許、特願2009-201114
    • 出願年月日
      2009-08-31

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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