研究課題
がんの血管新生や浸潤本研究ではがん血管新生とリンパ管新生を標的にした新しいがん治療を創出するために、特に間質の炎症反応やマクロファージを標的にした新しいがん治療戦略研究を進めてきた。(1) 腫瘍の悪性進展を亢進させる腫瘍関連マクロファージ(TAM)に特徴的なバイオマーカーとしてヒト胃癌症例における免疫組織染色によって、腫瘍内に浸潤してくるマクロファージ(TAM)がチミジンホスホリラーゼ(TP)を発現していることを見出した。in vitro試験において、多くの胃癌細胞株にはTPの発現は観察されなかったが、培養マクロファージは明らかにTPを発現していた。また、TP阻害剤はマクロファージの増殖を抑制しなかったが、細胞遊走を阻害した。(2) 転移抑制遺伝子としても知られているNDRG1/Cap43ががん間質への好中球やマクロファージの集積とがん血管新生を抑制することを明らかにした。NDRG1発現膵癌細胞はgroa/CXCXI1やENA-78/CXCL5, IL-8の産生が抑制され、これにはNF-kB経路が深く関与していることを明らかにした。(3) SGK1によるリン酸化部位を欠失させたNDRG1/Cap43の欠失変異体及びリン酸化アミノ酸点変異体を用いた検討により、NDRG1/Cap43変異体強制発現株においてはCXCケモカインの発現抑制及びNF-kB経路の抑制は認められなかった。以上、がん間質におけるTAMの血管新生及びリンパ管新生への関与及びTAMに特異的なバイオマーカーを明らかにし、またNDRG1/Cap43によるマクロファージの誘導及び血管新生制御機構について明らかにした。本研究成果を基盤にして、TAMの物理性の高いバイオマーカーを標的にした治療薬の開発並びにNDRG1/Cap43を標的にしたがん間質治療研究をすすめ、独自性が高く有用性の高い新しいがん治療薬の研究が展開できると確信している。
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