研究課題
1、Aktの上流のキナーゼであるPDK1に結合する分子として同定したAkilは、細胞内でAktにも結合することを見出していた。そこで、各々のdeletion mutantを作製することにより、各々の結合に関わる部位を探索した。その結果、Aki1の494-552番目のDM14-4ドメインがPDK1との結合に、PDK1上の複数のドメインがAki1との結合に関わることを同定した。Aki1上のDM14-4ドメイン周辺がAktとの結合に関わる部位であることが判明した。また、Aktの308番目のスレオニン残基がリン酸化すると、Aki1との結合が減弱することを明らかにし、Aktの308番目のスレオニン残基周辺がAki1との結合に関わっていることを見出した。2、Aki1はAktとPDK1両者に同時に結合することを確認した。さらに、Aki1を大過剰に発現させた場合、Aktシグナル伝達経路が逆に阻害されるといったBiphasic patternをとることを見出し、Aki1がAkt経路の足場タンパク質として機能していることを確認した。この結果より、Aki1はAkt経路で初めて見出された足場タンパク質であることが明らかとなった。3、Aki1がAkt以外のSGKやp70S6KなどのPDK1基質と結合するのかどうか検討した結果、これらAkt以外のPDK1基質とは結合しないことを、内在性だけでなく、SGKやp70S6Kの遺伝子導入系でも確認した。このことは、Aki1発現変化に伴い、Aktの活性のみが変化するという結果と一致し、Aki1がAkt経路の特異的制御分子であることが示唆された。4、EGF刺激時にAki1がEGFレセプターと結合していることを明らかにした。さらに、ファミリー分子であるErbB2/Her2、ErbB3、ErbB4の全長遺伝子をクローニングすることで、過剰発現系でAki1がこれら分子と結合していることを見出し、Aki1がEGFシグナルの制御分子であることが示唆された。
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