研究課題/領域番号 |
20015052
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50263306)
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研究分担者 |
角田 慎一 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤的研究部, サブリーダー (90357533)
眞弓 忠範 神戸学院大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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キーワード | リンパ管 / 血管 / DDS / ミサイル療法 / 抗体 / プロテオーム / 転移 / がん治療 |
研究概要 |
申請者らは最近、乳がん等を対象にプロテオーム解析による"がん関連蛋白質"の探索を推進すると共に、ファージ表面提示法を応用して、in vitroで抗体を迅速に創製できるファージ抗体ライブラリ技術を確立した。また、疾患サンプルのディファレンシャルプロテオーム解析によって同定される多数の蛋白質に対して、抗体ライブラリにより迅速かつ網羅的に抗体を創製しうる方法論(抗体プロテオミクス)を先駆けて確立している。そこで本研究では、この抗体プロテオミクスを有効活用し、がん組織リンパ管の基礎的情報の集積を図ると共に、がん組織リンパ管に特異的に発現する分子を探索し、"がん組織リンパ管を標的としたミサイル療法"を開発しようとするものである。本観点から、平成20年度は、がん組織リンパ管内皮細胞と正常組織リンパ管内皮細胞、あるいは種々の血管内皮細胞等との特性比較を試みた。まず初めに、がん組織リンパ管内皮細胞等をプロテオーム解析したところ、がん組織リンパ管内皮細胞特異的な発現変動たんぱく質(創薬バイオマーカー候補たんぱく質)を多数探索することに成功した。そこで次に、これらのプロテオーム解析で見出された候補分子について、特異的モノクローナル抗体を作製し、正常組織およびがん組織といった臨床サンプルについて、免疫染色を行った。その結果、がんのリンパ行性転移に密接に関わる創薬バイオマーカーたんぱく質を複数同定できた。また当該検討過程において、肺がんの診断マーカーとなり得る興味深い発現変動たんぱく質(3種)を見出した。これらは、正常肺組織では全く発現しておらず、肺がん組織でのみ選択的に発現していた。次年度は、これら創薬バイオマーカーたんぱく質を用いた診断技術や治療技術の開発と共に、高リンパ行性転移仮性を示す肺がん細胞を用いた抗体プロテオミクスを実施することで、上記の目標を達成するものである。
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