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2009 年度 実績報告書

マウス嗅覚システム構築に関わるゲノム情報の抽出

研究課題

研究課題/領域番号 20016004
研究機関東京大学

研究代表者

西住 裕文  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (30292832)

キーワード嗅覚受容体 / 遺伝子発現 / 神経回路形成 / 軸索投射 / マウス
研究概要

マウス嗅覚系において、個々の嗅細胞が千種類以上存在する嗅覚受容体(odorant receptor : OR)遺伝子の中から一種類のみを選択的かつ相互排他的に発現することにより、匂い情報を受容し識別するシステムが構築される。OR遺伝子の単一発現の分子機構については、当グループの研究等から、遺伝子座制御領域による正の制御と、発現したOR分子が他のOR遺伝子の発現を抑制する負のフィードバック制御によって維持されていると考えられている。しかしながら、負のフィードバック制御の実体については依然不明な点が多い。
負のフィードバックシグナルがGタンパク質の活性化とは関係がなく,またOR特異的なものでもないというこれまでの知見から、今回我々は、様々な種類の7回膜貫通型受容体(7TMR)と相互作用するβ-Arrestinに着目し、そのフィードバック機構への関与について検討した。OR分子は多種類存在し、β-Arrestinと相互作用する部位についての知見は今のところ得られていない。そこで7TMRの中で解析が進んでいて、β-Arrestinと相互作用する部位も判明しているβ2-Adrenergic receptor(β2AR)を利用した。具体的には、OR遺伝子の代わりに、野生型β2AR、あるいは、β-Arrestinシグナルを遮断する変異型β2ARを、OR遺伝子のプロモーター制御下で発現させる遺伝子操作マウスを作製し、解析を行った。その結果、野生型β2ARを発現する嗅細胞はその軸索を収斂させ糸球を形成するのに対し、変異型β2ARを発現する嗅細胞の軸索は収斂せずに分散し、複数の糸球へ投射することが判明した。これは変異型β2ARを発現する嗅細胞では、他の内在性ORが共発現しており、その種類に応じて異なる複数の糸球へ投射することに起因していると考えられる。今後、負のフィードバックシグナルへのβ-Arrestinの関与が明らかになれば、さらにその下流のシグナルを追うことで、ORの単一発現機構の全容を明らかにすることができると期待される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Regulation of antigen-receptor gene assembly in hagfish2010

    • 著者名/発表者名
      岸下奈津子
    • 雑誌名

      EMBO Report 11

      ページ: 126-132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neuropilin-2 is required for the proper targeting of ventral glomeruli in the mouse olfactory bulb2010

    • 著者名/発表者名
      高橋弘雄
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Neuroscience (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] マウス嗅覚受容体遺伝子の単一発現制御2009

    • 著者名/発表者名
      西住裕文
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-12-10

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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