研究課題/領域番号 |
20016007
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 准教授 (30323702)
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研究分担者 |
荻島 創一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40447496)
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キーワード | 次世代シーケンサー / トランスクリプトーム解析 / 線虫 / 選択的スプライシング / mRNA前駆体 |
研究概要 |
mRNA前駆体(pre-mRNA)の選択的スプライシングは、ひとつの遺伝子から多様なタンパク質を造り出す機構で、多細胞生物の比較的少ない遺伝子からタンパク質発現の時間的・空間的多様性を生み出すための最も重要な機構のひとつである。生体内の各細胞における各遺伝子の選択的スプライシングは、トランスの制御因子とそれらが認識する転写産物上の配列または構造情報(シス・エレメント)により制御されるが、その分子機構の全容解明が今後の重要な課題である。 本研究課題では、スプライシング制御に関わる塩基配列の解明を目指す。そのために、選択的スプライシング制御因子の変異体線虫を用い、i)野生型と変異体でそれぞれ発現しているmRNAのアイソフォームを大量・高速に比較することで、制御因子の標的となっている可能性がある遺伝子を網羅的に探索するための実験的・情報学的方法論の開発し、実験的に検証を行って標的遺伝子を同定すること、ii)同定した標的遺伝子の塩基配列を基に、選択的スプライシングを制御するシス・エレメントの配列を生物情報学的に予測し、予測されたエレメントの必要性や制御されるエクソンとの相対的位置関係、他のシス・エレメントとの協調性について実験的に検証すること、を行い、生体における選択的スプライシングの時間的空間的制御に必要な配列・構造情報の規則性を明らかにすることを目的としている。 今年度は、主に、次世代シーケンサ-を用いたトランスクリプトーム解析を野生型およびスプライシング変異体の線虫に対して行うことを目指して、異なる株でRNA調製の条件を揃えるための飼育方法の検討や、抽出した全RNAから次世代シーケンサー解析にかけるためのDNA断片ライブラリーの作製方法の検討を行った。そして、その方法に従って野生型株N2、代表者らが同定したFox-1ファミリースプライシング制御因子ASD-1とFOX-1の二重変異体、およびasd-2変異体について、cDNAライブラリーを作製した。 現在、このcDNAライブラリーを利用して、次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析を行っている。
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