研究概要 |
本研究では,現在収集の進むパスウエイ情報あるいはタンパク質相互作用情報と遺伝子発現量情報を組み合わせる事で,(1)条件特異的に活性化している遺伝子ネットワークを求め,(2)それらを組み合わせる事で現在のネットワークには陽に現れていない相互作用,つまり副作用を引き起こす疑いがあるネットワークの抽出を行った.このネットワークを求めるため,まずデータマイニングで独立に扱われてきた部分ネットワーク列挙技術とアイテム集合列挙技術を組み合わせる新規手法を構築し,提案した.また,同一部分グラフを複数回作らないための枝刈り手法を導入する事で,現実的な時間での解答を可能にした.次に,これらのネットワークを組み合わせるためには膨大な組み合わせを生成しなければいけないため実行時間の問題があった.この問題を解決するため,付随するアイテム集合に関する接頭辞木を作成し,必要な組み合わせを高速に抽出する事に成功した.また,これらのアルゴリズムを酵母やヒトなど多種に対して適用する事で,生物学的有用性の検証を行った.酵母に置いては,互いに相互作用するタンパク質複合大群の抽出とそれらを司る遺伝子が働く条件を抽出することに成功した.代謝パスウエイ中で,TCAサイクルの活動に必要な化合物が生産される条件やTCAサイクルで生成された化合物が分解する条件の同定を行う事が可能となった.また,ヒトに置いては組織特異的に活性化しているパスウエイの抽出に成功し,組織特異的に働いている複合体の抽出を行う事ができた.
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