生物発光を利用して生きたままの細胞で目的遺伝子の発現をリアルタイムで測定するシステムを生物発光リアルタイム測定システムと呼ぶ。このシステムは、1) モニタリングしたい目的遺伝子のプロモーター領域の下流に、発光遺伝子(発光バクテリアやホタルのルシフェラーゼ遺伝子など)のタンパク質コード領域を組み込んだ「生物発光株」、2) 生物発光を高感度で自動測定できる「生物発光自動測定装置」、3) 測定しながら測定で得られた生物発光データをリアルタイムで解析して表示できる「生物発光自動解析プログラム」、そして、4) 測定で得られた生物発光データとその解析結果や、他のデータベース探索で得られた外部情報を整理して一括保存できる「生物発光データベース」から構成されている。我々はこれまでにこのシステムの実験室版を開発し、藍色細菌やクラミドモナス、シロイヌナズナなどの生物種で主に生物時計の研究に汎用してきた。この新規システムが生命科学分野全般で広く活用されるようにシステムの完成度を上げることが課題である。 1の生物発光株に関しては、生物時計とは異なる研究分野の研究者との共同研究で藍色細菌やシロイヌナズナ、イネなどで新規の発光株を作製し、保存した。2の生物発光自動測定装置に関しては、別途予算でこれまでにない、高感度測定装置と高ハイスループット測定装置を開発することができた。また、発光測定用の生物試料を装置用に調製する装置も開発した。3では完成度の高い生物発光リズム解析プログラムを完成したが、リズム以外を目的とする一般用の解析プログラムはまだ完成することができていない。また、4のデータベースに関してもまだ今後に残された課題である。幸い2009年度後半に新たな事業に採択されたので、引き続き3と4の完成に向けて努力したい。
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