研究課題
αCaMKIIヘテロノックアウトマウスは、精神疾患様の顕著な行動異常を示し、脳の海馬歯状回の神経細胞が未成熟なままであることが研究代表者からの研究で明らかになっている。本年度は、理研で開発されたENU変異マウスを活用することにより、どのような遺伝子のどのような変異が精神疾患様の行動異常及び未成熟歯状回という中間表現型に重要な役割をはたすのか検討することを目的として以下の研究を進めた。1. カルシニューリン関連遺伝子のうちCaMKIIB、Dynamin遺伝子については、理研のgene-driven法のスクリーニングによりアミノ酸置換変異が3種類(系統)見いだされた。現在、これらは遺伝子機能の面と一次スクリーニングの結果を検討中で、今後、優先度の高いものから入手して繁殖を進める。2. 理研のphenotype-driven法による一次スクリーニングにおいて、顕著な行動異常があるとされたM100073, M100786, M100914, M100934の4系統については、精子stockを入手して人工受精・胚移植技術を用いて個体に戻し、行動実験用マウスを準備する繁殖を進め、3月末までに4系統あわせて100匹程度の行動実験用マウスを得た。3. ヒトの精神疾患感受性遺伝子として注目されるDISC1遺伝子については、鬱病モデルQ31L変異マウス、統合失調症モデルL100P変異マウスなど3系統を入手した。Q31L, L100Pマウスについては交配用ヘテロマウスの繁殖を進め、もう1系統は戻し交配を進めている。以上のマウスの繁殖は、ピーク時期が重ならないように自然交配と人工受精・胚移植の方法を組み合わせて計画的にマウスを増やしており、必要数の成体マウスが得られ次第、順次、網羅的行動解析と未成熟歯状回の検討を行う。
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