モデル動物としてのマウスの重要性は、近年、益々高まっている。そこで申請者は、Sleeping Beautyという新規のトランスポゾンを用いて変異マウスを迅速かつ大量に作製する方法を開発してきた。また、体細胞での相同染色体間組換えを利用して、マウス培養細胞においてホモ変異体を誘導する方法も開発した。しかし、トランスポゾンが多用されているショウジョウバエと比較すると、マウスにおいてはホモ変異体の細胞を可視化するマーカーが存在せず、本手法を応用する上での障壁となっている。そこで本年度は、ホモ変異体を可視化するためのマーカーの開発を試みた。 具体的には、2つに分断された蛍光タンパクをトランスポゾンベクターの内部へ配置し、ヘテロ変異体では蛍光を発しないが、ホモ変異体では全長型の蛍光タンパクが再構成されて蛍光を発するようにデザインした。蛍光タンパクの再構成を促進するために、各々の蛍光タンパク断片へ、互いに相互作用するドメインを融合した。蛍光タンパクとしては、Kusabira-GreenやGreen Fluorescent Proteinを用いた。タンパク相互作用ドメインとしては、動物細胞が本来有しているタンパク質配列以外に、動物細胞には存在しないタンパク質配列も用い、動物細胞への毒性を抑えることを試みた。 上記の蛍光タンパクを培養細胞へ導入したところ、再構成と発光を認めた。しかし、上記のような種々の検討にも関わらず、個体でのホモ変異体の検出という目的を達成できるだけの強度の発光は得られなかった。
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