研究課題
本研究では、哺乳類特異的なゲノムインプリンティング(Gl)と哺乳類の進化の関連性を解明するため、胎盤形成に焦点をあて、網羅的なGl遺伝子とその機構について、比較ゲノム解析を行った。(1)マウス胎盤幹(TS)細胞を用いた網羅的Gl領域の検索:雄由来ゲノム(雄核発生胚)と雌由来ゲノム(雌核発生胚)TS細胞と精子ゲノムで、whole genome-tiling arrayとCHIP on chipを組み合わせ網羅的Gl領域(アレル特異的メチル化領域)(DMR)の検索。抗体は、抗メチルシトシン抗体。既知のDMRを含め、およそ300のDMRの候補領域をスクリーニング。うち、一つは新規のDMRで、精子でメチル化を獲得し、受精以降も維持。精子でメチル化を受けるGl領域は少なく、これまでにわずか3領域。周辺の遺伝子Zdbf2およびGpr1が組織特異性の新規Gl遺伝子。(2)ヒト組織におけるGl調節領域の保存性に関する検討:ヒトZDBF2、GPR1でGlを受けていること、ヒトDMRを確認。ヒト、マウスDMRの塩基配列は類似。本法は、組織特異性のあるGl遺伝子の検索に優れた方法。さらに、複数の候補DMRがあり、今後さらに新しいDMRとGl遺伝子の単離が期待される。(3)胎盤組織構築の異なる動物間のGI機構の進化:哺乳類特異的なゲノム機能であるGlと哺乳類の進化の関連性を解明するため、異種動物間のGl遺伝子とその分子機構について、比較ゲノム解析。ブタ生殖細胞と体細胞を用い、GPR1-ZDBF2,KCNQOT1のDMRを同定。有袋類には、3種類のGl遺伝子しか報告がない。有袋類ではKCNQOT1はGlを受けない。この結果は、哺乳類の進化(胎盤の進化)と伴にDMRの数が増加し、Glが増加することを示唆する結果であると推測された。
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