研究課題
細胞性粘菌の子実体形成は胞子と柄細胞のみを生じる最も単純な細胞分化のシステムであるが、Acytostelium属の子実体では柄は非細胞性で、全ての細胞が胞子となる。そこで、Acytostelium subglobosumと種々の情報が蓄積されているDictyostelium discoideumとの比較ゲノム解析によって、多細胞体制の本質的な意義である生殖細胞と体細胞への役割が可能になった進化め道筋を推察することを目標として研究を行い、以下の成果を得た。(1) フォスミドライブラリーを構築して約7,000クローンの末端配列を追加決定し、最長1.5Mbpに達するゲノムスキャフォールドを得た。トランスポゾンと思われる繰り返し配列を見出した。(2) 発生期細胞を同調的に大量調製する実験系を開発し、発生期の完全長cDNAライブラリーを作製した。約6,000クローンの配列決定を行い、昨年度データと合わせて3,294の独立遺伝子を得た。(3) Acytostelium Gene Databaseを上記ゲノムとcDNAの最新情報を反映して更新した。また、解析のターゲットとなるD.discoideumで柄細胞形成に関与する遺伝子のオーソロガス遺伝子を特定した。(4) ターゲット遺伝子の一部について発現特異性の解析を行い、D.discoideumと比較・整理した。(5) cellulose synthase遺伝子についてD.discoideum遺伝子破壊株にA.subglobosum遺伝子の導入を行って形質転換対を得た。転写は確認されたが表現型は回復しないため、詳細な解析を進めている。(6) D.discoideumとは塩基組成の違いが大きいためオーソロガス遺伝子の検出や、明らかなシンテニーの同定は困難であったが、一定程度のアンカーを検出することができた。
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