1. 斑紋多型を示すナミテントウを用いた解析 ナミテントウにおいて斑紋特異的な発現パターンを示す遺伝子として同定したth、ddc、lac 2のレポーターアッセイを行うため、昆虫の形質転換ベクターであるpiggyBacを用いて、各遺伝子のプロモーター上流域をEGFP遺伝子につないだレポーターアッセイ・ベクターを導入した形質転換ナミテントウを作出した。各コンストラクトにつき、独立した4〜6の系統が得られ、その形質転換効率は、5.1〜7.7%であった。 2. ミュラー型擬態を示すテントウムシ科内の種を用いた解析 ニジュウヤホシテントウから、クチクラの硬化に関わる酵素遺伝子としてebony、メラニン合成経路で作用する酵素遺伝子としてth、yellow、ddc、lac 2のcDNAをクローニングした。次に、larval RNAi法を行い、成虫クチクラの着色を観察した。その結果、ナミテントウとニジュウヤホシテントウの2種間で最も顕著な違いが現れたのはebonyのRNAiであった。ナミテントウでは黒色領域が拡大しただけだったのに対し、ニジュウヤホシテントウでは赤色領域が黒色に変化した表現型が観察された。以上の結果より、ニジュウヤホシテントウの赤い斑紋はebonyによって制御されることが明らかとなった。 3. テントウムシと上科レベルで異なるヘリグロテントウノミハムシを用いた解析 ヘリグロテントウノミハムシの斑紋形成において重要な役割を果たすことが推定されるyellow遺伝子をヘリグロテントウノミハムシよりクローニングした。他の昆虫の配列と比較したところ、アミノ酸レベルで60〜71%の相同性が認められた。現在、larval RNAi法を用いた機能解析を行う準備を進めている。
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